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メチダチオン 続編

    メチダチオンのおさらい   こちらもご覧下さい

 

残留基準値で安全性が守られていると思うのは間違い!?

大阪府立公衆衛生研究所のデータで、実際に柑橘類からジメトエート、メチダチオンなどの農薬が残留していたことをお伝えしました。

その残留値から計算すると、可食部100gのデコポン(残留値0.18ppmの場合)を体重50kgの人が摂取した場合、280g摂取しただけで一日摂取許容量に到達してしまうという計算に!!

 

 

1日摂取許容量(体重50Kgとして)

メチダチオン 

0.05mg/日(FAO/WHO)


※ppmというのは100万分の1という意味です。1kg当たりで考えると、1kgに1mg(0.001g)が1ppmに当たります。

※1日摂取許容量は一般的に無毒性量(ラットなどへの実験で毒性が認められなかった投与量)に安全係数100をかけて設定されます。

 

     メチダチオン 続編         EUとの比較

 

メチダチオンは2004年3月31日以降、EU各国で使用されなくなりました。(農薬登録が取り下げられた)

日本では輸入品の検査もあり、残留基準値(柑橘類は5ppm)が維持されています。

ポルトガル政府により、この残留基準値では健康に対する懸念が生じているとの申し入れがあり、EFSA(ヨーロッパ食品安全庁)で審査が行われました。(EFSA Journal 2010;8(6):1639)

審査はヨーロッパで流通している食品の中のメチダチオン残留量を調査し、実際の摂取量を推定し、それと1日摂取許容量(ADI)、急性参照容量(ARfD)と比べました。

実際の残留量が不明な食品が多く、更なる調査が必要ですが、1日摂取許容量の23.9倍、急性参照容量の66.3倍に達する可能性があると試算されました。

ポルトガル政府の申し出は柑橘類などの残留基準値を外す(残留していたら輸入禁止)という提案でしたが、柑橘類からの摂取を除いたとしても、結局1日摂取許容量(ADI)の3倍の計算結果になり、メチダチオンの残留による健康影響をどう法的に処理するか不透明です。

 

柑橘類に対するメチダチオンの残留基準値の比較

 

日本

EU

CODEX

メチダチオンの残留基準値(mg/kg)

5

0.02

2

CODEX: FAO及びWHOにより設置された国際的な政府間機関であり、国際食品規格の策定等を行っている機関です。

EUの0.02mg/kgという残留基準値は撤廃の動きもあり、今後、一律基準(0.01mg/kg)になる可能性もあります。

最も摂取量への寄与の多い、柑橘類で比較してみると、EUが設定している基準値の250倍が日本の基準値ということになります!

 日本では、メチダチオンは、ポジティブリスト(2003年制定、2006年施行)に登録されているにもかかわらず、2013年にようやく残留基準値の審査が始まったところです。現在は、暫定基準のまま運用されている状況ですので、このような残留基準値と許容値との間の矛盾が生じています。

 “知らされないから”という受身で否定する時代は終わりにし、多くの人が知る事によって、検討せざるを得ない、と思わせる状況を作っていかなくてはなりません。

 

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